業務金庫に限らず、金庫はどうして重いのかという質問には、大きく3つの観点での回答が考えられます。
これは、第一に、持ち運ばれるのを防止するためです。
卓上で使用され、お店で売上金などを入れておく手提げのタイプの金庫なら、逆にどこへでも持ち運んで行けるのがメリットとなりますが、重要な書類や多額の現金などを入れてある金庫が軽々と持って行かれたら大変です。
一般的に、金庫の重さが60kgを超えると、金庫強盗は持ち去りを諦めると言われています。
そのため、業務金庫としては80kg、100kgの重量の金庫がより安全だと考えられます。
ただし、重くなる分、設置する際の床の強度を上げておかなければなりませんので要注意です。
なお、金庫によっては、床に固定できるようになっているものもあり、見た目は持って行けそうでも、実際には床から離れないとなれば、強盗も諦めると考えられます。
金庫が重い第二の理由は、簡単に開けられないようにするためです。
たとえ持ち去られる心配は無いとしても、簡単にこじ開けられたり、金庫ごと破壊されたり
つまり、金庫には、工具等でこじ開けられるリスクを回避する「防盗性」も求められます。
防盗性のある金庫は、正当な方法ではない工具等によるこじ開けに15分、30分と耐えられるようになっています。
強盗は、長時間滞在することを嫌いますので、15分間こじ開けるのが上手くいかなければ、諦めて立ち去ると考えられています。
また、バーナーなどで開閉部分や金庫本体が焼き切られることが無いように、金庫は厚くて丈夫な材質で作られています。
その結果、重くなってしまうのです。
更に第三に、中身を守るために、熱を中に伝えない材質で構成されているからです。
金庫の中に現金や有価証券、紙の書類、権利書などを入れることが多いですが、一般に紙は約230度で発火します。
火事になり、金庫が長時間炎にさらされると、金庫の表面は簡単に300度、400度という温度に達します。
その時、金庫自体は火災に耐え抜いたとしても、中の紙が燃えてしまったのでは無意味です。
JIS規格では、どんなに金庫の周囲が熱くなっても、庫内が177度以下であることが求められ、その試験をパスしたものはJISのお墨付きの耐火金庫となります。
このように、金庫が重いことにはそれなりの理由があるのですが、例えば持ち去りを防止したいのであれば、壁や床下に埋めるタイプの金庫もあります。
また、業務用の書類を火災から守るということでは、伝統的な金庫のタイプではなく、普段から開け閉めが自由で大量の書類を保管できるキャビネットタイプのものもあります。
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